ご挨拶

私たちは2016年、内閣府革新的研究開発推進プログラム「イノベーティブな可視化技術による新成長産業の創出」の価値実証に正式参加し、光超音波技術を用い、ヒトの脈管(動脈、静脈、リンパ管)を高精細に画像化する臨床研究に取り組んで参りました。

この画期的な画像技術を用いた臨床研究は、現在学内では形成外科、放射線科(診断)、外科(一般・消化器外科 血管班)、リハビリテーション科、産婦人科、腫瘍センター、整形外科、皮膚科、内科(腎臓・内分泌・代謝)科、血液浄化センターと横断的に広く展開し、学外では国立情報学研究所、九州大学情報科学研究院と連携し、AIを用いた画像解析を行っております。これまでヒトの微細な脈管の画像化は困難でしたが、光超音波による高精細な画像化は国内外の学会で高く評価され、数々の賞も受賞しております。また、リンパ管画像では世界で初めてリンパ管収縮によるリンパ液の流れの動画撮影に成功いたしました。このように光超音波技術を用いたヒトの脈管描出において、私たちは世界の最先端をリードしていると自負しております。今後さらに研究を推進していくことで、脈管の画像診断技術にイノベーションをもたらすことが可能であると信じております。

この度、この光超音波技術による画像診断を知って頂き、皆様にも是非ご協力を頂けるようWebサイトを開設致しました。病気に苦しまれておられる患者様にこの技術で光を与え、医学および社会に貢献できるよう今後も努力をして参りたいと思います。

慶應義塾大学医学部形成外科学 教授・診療科部長

貴志 和生